小関伸明

ビジネスモデルデザインとイノベーション創出を専門としています。特に個人の変革に注目し、『誰もが自分らしく生きられる社会の実現』を志にしています。
ビリーブロード株式会社 取締役
ビジネスモデルイノベーション協会認定コンサルタント
ドリームゲート認定起業アドバイザー
https://www.facebook.com/nobuaki.koseki

記事一覧(14)

顧客が欲しくないものを作らないために知っておくべきこと

CB INSIGHTSによると、スタートアップの失敗原因のTOP3は以下のとおりで、この3つだけで、なんと全体の94%を占めています。1位 客が欲しくないものを作ってしまった(42%)2位 資金が底を突いた(29%)3位 チームが崩壊(23%)これらは、一見して別々の問題のように見えますが、根底には同じ要因があると私は考えています。それは、”試行錯誤のやり方が良くない”ということです。特に新規性の強い事業を作る場合、アイデアは”仮説の塊”であり、実際にやってみなければ分からないことだらけです。そして頭で考えたアイデアの大半は、現実の前に木っ端微塵に打ち砕かれるものです。ですから、新規事業開発においては、現実の顧客候補に対して仮説検証と軌道修正を繰り返しながら、顧客が本当に欲しいものに近づいていくことがとても大切です。特に、これが起業家の場合、起業してしまった後は資金がどんどん減っていきますので、いかに無駄を減らして高速に試行錯誤を行えるかは、起業の成否に大きく影響します(リーンスタートアップ的な考え方です)。ここで試行錯誤がうまくいかない例をいくつかご紹介します。そもそも客が欲しいものを作れていないのに、Webマーケティングや販促戦略を試行錯誤してしまう。最初から大きなものを作ってしまい、素早い軌道修正ができない。アイデアの面白さや最新技術の魅力などの「手段」で仲間を集めたがために、軌道修正時に対立が起きてしまう。部分的な軌道修正によってビジネス全体ののバランスが崩壊し、何を実現したかったのか分からなくなる。では、これらの問題を防ぎ、新規事業が失敗する可能性を減らすにはどうしたら良いでしょうか。下の図は、500 Startupsの客員教授であるSelcuk Atli氏がブログで公開した”ピポットピラミッド”に、私なりの考えを加えたものです。

ビジネスモデルから見るAmazonGoとローソンレジロボの違い

Amazonとローソンがそれぞれ開発する「コンビニの無人レジ化」を実現する仕組みが、ほぼ同時に報道されて話題になっています。世間では技術面の違いにフォーカスした比較や感想が多いようですが、ここではビジネスモデルの観点から両者の違いを見てみたいと思います。まずローソンのレジロボについて。プレスリリースには「次世代型コンビニにおける生産性革命」という言葉が一番最初に記載されています。つまり「店舗オーナー」を最も重要な顧客と捉えているのではないでしょうか。そして店舗オーナーが受け入れやすい方法で、消費者の利便性を具現化すると今のようなカゴ型になるのかと思います。既存の買い物の流れは変わりませんので、コンビニが老若男女に浸透している日本では受入れられやすいかもしれません。一方のAmazonGoは、プロモーション動画を見れば一目瞭然ですが、様々な消費者が登場して次々に買い物をしていきます。「一般消費者」に対して「新しいショッピング体験」を提供することが最優先事項であり、テクノロジーはこれを実現するためにあるという流れですね。また、動画にはほんの一瞬だけ店舗側の人間としてサンドイッチを作るおじさんが映し出されます。テクノロジーは人間を排除する物ではなく、人間は人間らしさを最大限に活かす仕事を担当するんですよというメッセージではないかと私は感じました。こちらは未知の世界なので浸透には色々とハードルがありそうです。以上のことから各々のビジネスモデルキャンバスを描くと下図のようになります。それぞれのアプローチで未来の社会を描いたものであり、ビジネスモデルが全く違いますので単純に優劣をつけるものではないようです。ローソンは既存社会の延長線上にある進化した未来、Amazonは全く新しい未来の創造という違いなのかと思います。

イノベーションをテーマにした旅に行ってきました

私の会社では、年に1回全員で合宿を行っています。次の1年間の事業方針を刷り合わせることが目的ですが、今年は「イノベーションの旅」をサブテーマとして、2泊3日で徳島県と福井県を巡ってきました。行程は以下の通りです。観光要素ゼロ、完全に合宿です。■1日目徳島空港⇒イノベーションセンター徳島様視察→神山町/グリーンバレー様視察⇒宿/Tokushima Share House様で会議■2日目福井に移動⇒越前めがねの里様工場見学⇒Hacoa様工房見学⇒農家民宿/椀de縁様で会議■3日目鯖江市/Hana道場様/エルコミュニティ様/KISSO様施設見学&活動説明今回、たくさんの方とお会いし、お話しを伺い、対話を通して多くの気付きを得ることが出来ました。この旅を通じて私が特に感じたことは「志・行動・継続」です。お会いした皆さんに共通していることは「とにかく行動に移す」、そして「始めたらやり続ける」です。しかも尋常でない行動力で、時には法令などのルールすら変えてしまいます。何故こんなことが出来るのでしょう。「四の五の言わずとにかく行動に移すことが大事」とは良く言われることですし、私もそう思います。しかし、これには「何故それをやるのか(Why)」を持っていることが前提にあると私は考えています。人間はリモコンロボットじゃありませんから、どのようなことでも良いので行動には動機付けが必要ということです。動機付けが出来たら継続が大切です。今回お話しを伺った皆さんも、華やかな成功話の裏には、長い長い(一見関係がないと思われる事も含めて)試行錯誤と積み重ねの期間がありました。もちろん、今でも積み重ね中だと皆さん仰います。Whyには「好きだから」とか「楽しいから」といった内向的なものも含まれますが、これが共通善と結びつくと「志」が生まれて社会と繋がります。志を持つと世界は一変し、あらゆる壁は「やらない理由」から「乗り越えるべき課題」に変わります。これがやり抜く力の源じゃないかと私は思います。今、多くの企業において、イノベーションを起こせる組織への変革が進められています。デザイン思考などのテクニックや組織ルールの整備はもちろん大切ですが、それだけでは今回お会いした方々のようなイノベーションを起こすには不十分だと思います。1人1人のWhyと深く向き合い社会と結び付ける。そういう作業をもっと丁寧に行った方が良いんじゃないかと感じます。長年かけて作られたマインドセットはそう簡単には変わりませんが、今回私達が行ったような「イノベーションの旅」は、1つのきっかけを産み出せる方法になるかもしれません。

働き方の未来を感じた日

先日「ワークル」の半期発表会に出席しました。ワークルは「会社と家以外の第3の場所」として、個人が組織を超えてやりたいことで繋がる場で、私も立ち上げに関わらせてもらいました。ワークルの本拠地は北鎌倉の古民家「ミライエ」ですが、この日は港区にあるお寺「光明寺」さんの本堂をお借りしての開催。そこに10代~20代の若者を中心に100人以上が集結したものだから、周囲はただならぬ雰囲気に包まれていました。第一部はパネルディスカッション。登壇者はリクルートマネジメントソリューションズ社長で、様々な個人プロジェクトに取り組む奥本さん、ソニーで新規事業開発を担当しながら自身の会社ハピキラFACTORYでカワイイをキーワードに地方創生に挑む正能さん、リクルートキャリアで人材開発を担当しながら自身の会社HARESで「二兎を追う者は二兎を得られる世の中」を目指す西村さん、そしてワークル代表の町塚さんの4人。奥本さん以外は全員20代です。ここでは、働き方やパラレルキャリアについてディスカッション。様々な意見が出ましたが、根っこは仕事も含めて人生を丸ごと楽しみたいという所にあるようです。歯に衣を着せない本音と直球のやり取りはダイレクトに響くもので、耳の痛いこと、感心すること、共感すること、共感できないことなど様々な感情を揺さぶられます。第二部はワークル会員によるプロジェクト活動報告。今回は8名です。ものづくりの現場の声を広めたい、医者の知りたいに応えたい、アウトドアを通した場作りをしたいなど、「手触り感」のある魅力的なプロジェクトばかり。SFC女子大生2人によるゲストハウスプロジェクトに至っては、既に融資を受けていて建設中だとか。実現力も大したものです。第三部は、発表された8プロジェクトについて、参加者が各自興味を持ったプロジェクトに分かれてのグループディスカッションを実施。それにしても場作りがうまい。聴衆が対話を通して内省し、自然な流れで参加者(自分事)に変わっていく流れは見事の一言。リンダグラットンがLIFE SHIFTの中で説く「インディペンデントプロデューサ」「エクスプローラー」「ポートフォリオワーカー」が現実化し、各々が人的ネットワークを作りながら周囲を巻き込んでいく様子が目の前で繰り広げられていきます。ここには「~しなければならない」という義務感はなく、「自分らしく」があるだけです。また、先頭に立って引っ張るリーダーだけでなく、リーダーに共感して支援するサポーターや、やりたいことはまだ見えておらず様子見中の人など、様々な人がいます。どのステージの人でも受け入れ、自然な流れで自分事に変わっていくのが面白い。イノベーション・エコシステムの実現例ではないでしょうか。ワークルは実に人間らしさを感じられる場です。AIやロボットなどテクノロジーの進歩が既存の仕事を奪っていく中で、こうした人間らしさから生まれるイノベーション力こそが働き方の未来に繋がるんじゃないかなと感じた1日でした。

人生100年時代の到来

リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの共著「LIFE SHIFT」が発売されました。二人はロンドン・ビジネススクールの教授であり、それぞれ心理学と経済学の専門家です。リンダ・グラットンはThinkers50で毎年ランキング入りしている著名な経営思想家でもあります。この本では、まず「世界中の国々で寿命が伸び続けていること」が重要な事実として提示されています。日本では100歳を超えると国から銀杯が贈られることをご存知でしょうか。今年、この銀杯が銀メッキに変わったことをご存知でしょうか。100歳を超える人があまりに増えすぎたからです。この制度が始まった50年前、100歳以上は日本全国で153人でした。それが2016年には6万5692人になり、国連の推計によれば2050年までに100万人を突破する見込みということです。2007年に生まれた子どもの半分は107年以上生きると予測されているとのこと。俄かに信じがたい数字ではありますが、事実としてデータが示されている上に、IPS細胞やIBMワトソンによるがん診断など、医療技術のイノベーションを見るに、否定することの方が難しいように思います。この時代に、高齢化の負の側面にばかり目を向けるのではなく、事実を受け入れていかに幸せな人生を過ごすか、そのために何が必要かということを本書では提案しています。100年人生では、画一的な「教育→仕事→引退」という3ステージはもはや成り立ちません。今の年金制度が破たんすることはもはや必然ですから、65歳で定年していたらまず金銭面が成り立ちません。そしてAIやロボットなどテクノロジーの進化は人の仕事をどんどん奪っていきます。この社会では、古い働き方や生き方に疑問を投げかけ、自らを社会に合わせて「変化させ続けること」が大切です。「夫が外で働き妻は家を守る」「1つの会社で定年まで勤めあげる」という親世代の生き方が自分に適用できると思ってはいけないということですね。そして、変化し続ける生き方を実現するための方法の一つとして「イノベーション力」があげられています。私は「変化できる人を増やしたい・応援したい」を志としており、本書は共感できるところが多々ありました。今後、この考え方と私が学ぶイノベーションスキルを組み合わせたセミナーなども開催していきたいなと考えています。

ビジネス創造と即興劇(2)

前回投稿に書いたとおり、今月からインプロ(即興劇)のトレーニングを受講しています。主催は私も所属しているビジネスモデルイノベーション協会。当然、イノベーションに有用ということですね。それほど外向的でない私には苦手な分野だろうなと思いつつ、恐る恐る参加しました。結論から先にいうと、イノベーションにとって素晴らしく大きな可能性を感じるものでした。これ凄い。インプロ自体が、自発性や臨機応変な対応力、表現力、想像力、創造力、対人力など、実に様々な効果を感じます。そして、アイデアの原石が多様性の中で揉まれ、想定外のものが生み出される様はまさにイノベーション。以下に、やったことを書き出していきます。基本的に講義はなく、殆どが体を使ったワークです。1.わたし、あなたまず、参加者が輪になります。そして起点となる人が、まず自分の名前を言い、続けて輪の中にいる他の誰かの名前を呼びます(その際にはボールを渡すような身振りをつける)。名前を呼ばれた人は、自分の名前を言い、続けて他の誰かの名前を呼ぶ、を繰り返します。慣れてきたら起点の数を増やして複雑性を増していきます。起点の数を増やすと、声が混ざり合って難易度がぐっと上がります。まず、全体を良く観察していないといけません。そして、身振りや呼びかけが中途半端だとうまく回りません。これだけで一気に体温があがり、脳が活性化し始めます。アイスブレイクにも良いし、「しっかり受け取り」「しっかり渡す」という基本的な感覚を掴むのに良い方法だと思います。2.ナイフとフォークまず、2~3人のグループに分かれます。そして司会者が提示するテーマを、言葉を一切発さずにメンバーと協力し、体で表現します。「ナイフとフォース」のお題で、私は体を一直線にしてナイフを表現しました。もう1人はフォーク。そしてあぶれたもう1人は苦肉の策としてスプーンを表現。他にも富士山や、宇宙船などいくつかのお題をやりました。また、全員で1つのお題もやりました。ハートマークなど。これ、1人1人の個性が出てきます。お題から特徴的な部分を見つけ、率先してその部分を表現する人。その意を汲み、協力して同じイメージを作り上げる人。意は汲みながら全く想定外のイメージを生み出す人など。言葉が使えないことで、その人の本質的なマインドセットのようなものが浮き彫りになるようです。3.連想ゲーム/連想しないゲーム参加者が輪になり、起点の人から時計周りに、リズムに乗って順々にワードを言っていきます。この際、前の人が言ったワードから連想すること、といった制約をつけます(「トマト」→「赤い」)。慣れてきたら起点を複数にして回します。連想しないゲームはこの逆です。なんかこういうクイズ番組ありましたね。これは、考えていたらすぐ止まってしまいます。感じたままに表に出さねば到底間に合いません。そして、前の人の言葉をしっかり受け取り、次の人にしっかり渡すことも大事です。また、3人グループでA、B、Cと役割を決め、Aが何かワードを言い、Bはそれに連想されないワードを言い、CはA,Bが言ったことを組み合わせて生まれるものを言う、というゲームもやりました。イノベーションっぽくなってきました。4.シェアードストーリー皆で物語を創ります。参加者が横一列に並び、与えられたお題(「〇〇さんの夢」とか)に沿い、即興で1人1文ずつ発しながら全体で1つの物語を創り上げるものです。これは今までの集大成のようなもので、前の人からのメッセージをしっかり受け取り、お題という制約の範囲で感じたままの文を創り、次の人につなぐ。この際、曖昧な表現で次の人に渡すのではなく、自分の所で具体化して次の人に渡すことが大切。同じ言葉でも人によって受け取り方が異なりますので、想定外の物語が出来上がっていきます。イノベーション創出の初期段階では「クラウドの中でしっかり迷うことが重要」と言われます。私は迷わず即座に答えを出そうとする性質なんですが、このやり方だと強制的に共創できるため、私のメンタル切り替えにはとっても役立ちそうです。他にもいくつかゲームをやりましたが、どれも有用なものばかりでした。大切なことは、これは1回受講して終わりの研修ではなく、スポーツのように繰り返し練習して身につけるタイプのものだということですね。今後も参加し続けてみようと思います。

ビジネス創造と即興劇

先日、某企業の新規事業創出のお手伝いをしてきました。解決したい課題は決まっており、ビジネスモデルの方向性を検討するという段階です。今回は、社外の多様な人材が集まってワールドカフェを実施し、各チームが即興劇で発表するとという内容です。この即興劇、インプロビゼーション(インプロ)と呼ばれるもので、ハーバードやMITなどのビジネススクールで取り入れられており、導入する企業も増えているとのこと。私も注目しており、10月にインプロの研修を受講する予定だったので凄くタイムリーな経験でした。しかも実践。私のチームは5人。演劇経験は恐らく1人もいません。そして会うのは初対面または2回目という程度の関係の浅さです。ワールドカフェの後、15分程度でビジネスの方向性をまとめた上に、劇の設定や役割分担も決めなければなりません。そしてすぐに劇に入るという大変忙しいものでした。演じて思いましたが、凄く良いですね、これ。普段あまり使わない様々な能力が鍛えられると同時に、チームビルディングなどの面でも多くの効果がありそうです。刺激的で直観的、そして創造的演じた役割の理解と気付き表現力、瞬発力、行動力•チームメンバーとの共創、価値観の共有、コミュニケーションの深化反省点(?)としては、「シナリオ」を作りすぎてしまったことでしょうか。それよりも、設定にもっと時間を使ったほうが良かったかなと思います。例えば、単に「顧客」というだけでなく「〇〇〇な顧客」「×××な顧客」といった風に詳細化するとか。この辺りは10月の研修で確認します。そして、自分の仕事にも取り入れていこうと思っています。

イベント紹介(「幸せ×デザイン思考=イノベーション」を学ぶ2日間)

当社開催イベントだけでなく、世間一般に開催されるイノベーション関連のイベント情報をご紹介していきます。「幸せ×デザイン思考=イノベーション」を学ぶ2日間(10/7、10/21)東急電鉄が代表幹事を務める「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」のイベントです。システムデザインやイノベーション教育で有名な慶応義塾大学前野教授と、「対話」を用いたイノベーション創造活動を行っているProject Design Office中村さんのコラボによる、イノベーション創出方法を体験するイベントのようです。中村さんの対話会は私も参加したことがありますが、所謂「コンサルタント」さんにお勧めします。イノベーションの創造活動では一直線に答えを目指すのではなく「しっかり迷う」ことが大切と言われています。与えられた課題に対して迅速な回答の提示を求められるコンサルタントにとって、これはかなり違和感があると思います。対話会はこうした凝り固まったメンタルを解きほぐすのに最適な場だと感じてます。平日日中ではありますが、調整がつけば是非参加したいイベントです。※弊社は本イベントの運営とは一切関係ございませんので、本イベントに関するお問い合わせはイベント主催者までお願いします。